【独自調査】”制作会社選びの失敗と成功”についてアンケートを実施しました。

ナノカラーの川端です。

この記事では株式会社アスマーク様の調査結果を元に「制作会社選びの失敗」がなぜ起こってしまったのかを、制作会社の視点から考えてみます。


    

1.調査に至る背景

以前、個人的にSNSで「WEB制作会社選びで失敗したエピソード」というアンケートをとったことがあります。多くの方から反響を頂きました。これほど多くの制作会社選定に失敗したという声を頂くことは、生々しいリアルな声を知る事で自社サービスを今一度顧みる機会をいただけると同時に、大変心苦しい感情も抱きました。

実際には当事者のみが知ることも多々あるかと思いますので、制作会社だけが悪いという事ではないかもしれません。ただこの失敗原因を突き詰める事で、ミスマッチの可能性を少しでも軽減できるのではないかという考えに至ったのが、今回の調査の背景となります。

各制作会社の違いとは、依頼主は何を基準に制作会社を選ぶべきか、そしてどんな依頼によって失敗が減らすことができるのか、という点を明確にします。

2.アンケート結果

失敗経験のある回答者が71.7%と非常に高い結果。多くの企業が制作会社の選定や納品物について失敗したと感じていることがわかります。

失敗と感じた領域は「デザインの質の低さ」が70%とトップ、次いで知見の低さ/技術やずさんさがそれぞれ33.3%という結果。制作工程では何度もデザイン確認する機会はあったかと思われますが、最終的には期待値を超えられなかったという結果かもしれません。

失敗した制作会社の選定理由の53.3%が「価格の安さ」と回答。投下する予算は低い方がいいのは誰しも考えることですが、依頼主企業にとっての安いという定義によって、金額も変わるかと考えられます。

実際のページ数や稼働領域は定かではありませんが制作業界の視点からは、非常に安価な制作費用と見受けられます。依頼先がフリーランスや副業など個人での収入源であれば話は別ですが、制作会社として利益を生む運営を考えれば、かなり効率化を目指さなければ採算が合わない金額だと感じます。

 

前項にもあった失敗と感じた要素と本当は望んでいた要素の内容も数値もほぼイコールであることから、制作の目的が「質の高いデザインのwebサイトを作る」ということがわかるデータです。

 

担当者が自ら探すというより誰かの知人、または知人の紹介という人を介した領域でほとんどの案件が決まっていることがうかがい知れます。

 

こちらも前項のアンケート結果にもあった通り、失敗と感じた領域も成功と感じた領域もともに「デザイン」に関わるものでした。いかにWEBサイト制作においてデザインという評価軸が顧客満足度に影響を与えているのかが窺えるデータです。

 
 

失敗したと感じた制作費用に対して、こちらは成功と感じた制作費用です。安価だから失敗確率が上がるというわけではなく、いかに希望していたデザイン品質が納品されたかどうかが重要なのかもしれません。

これらのアンケート結果を要約すると、依頼主は「価格の安さが選定基準の多くを占めており、デザインの品質を強く求めていたが、70%以上が失敗と感じた」という結果に見受けられます。
ここにミスマッチの原因が潜んでいると感じらます。

ミスマッチの3つの原因

  1. デザインの質は誰がどの様な軸で評価するかが重要
  2. 高品質/低単価は大量生産などコストダウンにより成り立つ
  3. デザイン制作は人件費と工数の削減がコストダウンの中心

著しく業界基準を下回るデザイン品質であれば話は別ですが、よほどの見解や解釈の食い違いがない限り、価格に見合ったデザイン品質が納品されることは多くあります。これは、後ほど記載しますが優れた技術や経験豊富なデザイナーを抱える/アサインするにはそれ相応の費用が必要です。アンケート結果の制作費用から考えると、その様な優れたデザイナーのアサインは難しいです。

また、デザインの質を依頼主のみが判断する状況であれば、依頼主が希望するデザインを提供することがゴールであり、それを読み取り具現化する技術があれば可能です。しかし品質が低いデザインを失敗と感じられたのであれば、具現化できるデザイナーではなかったという事でしょう。

制作会社が制作費用を安くするには、経験が浅いデザイナー(人件費が安い)をアサインし、制作工程を定型化し納品までを短期間にすることです。制作会社が定めるデザイン品質基準はあるでしょうが、定型化されているので経験が浅いデザイナーでは依頼主の好みを汲み取る技術がなく、品質が低く感じられている可能性があります。

3.制作会社をどう選べばいいのか?

制作会社選定力を左右する要素

弊社は多くの企業からご相談を聞く機会に恵まれました。その経験上で、依頼主の制作会社の選定力を左右する指標には4つあると考えています。

1.事業規模

事業として立ち上げ前で売上がまだない、または少額という規模やフェーズではなかなか制作会社に多くの予算を投下することができません。故に低い予算で限りなく広い領域をカバーできる制作会社を探さざるを得ない状況が生まれます。

2.自社改題の理解度

自社の課題とは明確に理解している様で、俯瞰で見えなくなっている状況が多々ございます。また「売上の低迷が課題」など売上に紐づく多くの要因が不透明で、実は理解度や解像度が低い場合もございます。その為、デザインに起死回生の挽回を期待してしまったり、制作会社の具体的な強みを理解できない状況も生まれかねません。

3.WEBリテラシー

こちらはWEBデザイン制作会社の選定という限定的な指標となりますが、デジタル領域におけるWEBサイトやLP、WEB広告やSEOなど、専門的ではないが一定レベルの把握がなければ、どの専門領域に強い制作会社を選べばいいのかというリストアップも困難になってしまいます。

4.ネットワーク

こちらは人脈です。仮に上記の1〜3が低かったとしても、WEBリテラシーや課題理解度の高い知人がいれば、その方からの紹介で多くの問題が解決できることもありますし、事実多くの現場では知人紹介からの案件化は頻繁に起こっております。

ただし、知人紹介に頼り切ることも失敗の可能性が高まることも忘れてはいけません。知人の紹介だから間違いないであろうというバイアスによって、任せっきりにしてしまい失敗してしまうこともあります。

 

選定力の高低によって生じる違い

制作会社の選定力とは、判断力に大きく関与しています。判断とは「予算」「スケジュール」「工数」「目的」です。自社課題が理解できていなければ、制作における目的が曖昧になり予算が立てられません。

制作会社から見積もりやスケジュールをもらったとしても、それが高いのか、遅いのかも判断ができません。それは必要な工数のイメージがつかないからです。しかし、逆に考えてみますと、これら4つの指標が高ければ高いほど制作会社選定での失敗確率が格段にあがります。

4.【浮かび上がる仮説】依頼主と制作会社とタイプの相性

依頼主視点のweb制作の目的

❶制作自体が目的

WEBサイトを作ることが目的にしてはいけない、いわゆる手段の目的化をネガティブに捉える表現です。しかし実際には作ることが目的な状況は多々発生いたします。新規事業の立ち上げ時は名刺がわりになるサイトが必要かもしれませんし、活用しきれてはいなくても、大昔に作成したデザインをそのまま放置しておくのは、あまり気持ちの良いものではありません。

❷マーケティングが目的
WEBサイトをマーケティングツールとして活用することが目的です。そのためCVやアクセス数といった指標や、事業課題を解決する為のマーケティング戦略など、デザイン造形以外の領域で考えなければいけないことが多くあります。
❸造形美が目的
自社のブランドや価値を正しく伝える表現を目的とした制作です。ブランドは独自性を積み重ねた想起を促す必要がありますので、自ずとビジュアルもテンプレートの様なデザインでは目的を達成できませんので、自ずと造形にこだわる必要があります。
 

制作会社視点のweb制作の提供価値

①低単価/高スピード支援
一定のクオリティを担保するには、工場生産の様に定型化する必要があります。オーダーメイドを受けていては採算が合わないからです。その為、コストを下げるためにコピーや使用する画像の選定を依頼主側に委ね制作に専念することで、制作工数を削減することもあります。また、確認後の修正などに対しても制限を設けて納期をコントロールします。
②マーケティング支援
戦略やそれに紐づく戦術を軸にし、具現化したものを制作物として提供します。顧客ビジネスの理解など制作領域以外の知見が必要であり、制作事例においてもデザインだけではなく、どの様に課題解決したのかというフローや成果(CVR/CPA/検索順位の改善など)とセットで提示するケースもあります。
③クリエイティブ支援
ビジュアルとしての表現力に長けた制作支援を得意とする制作会社です。依頼企業のブランドや価値を定義しコンセプトに落とし込むなどによって、正しく・より良く表現するための制作フローを重視します。
 
この様に依頼主側も制作会社側もお互いの利害関係が一致している状況が失敗確率が低く成功する可能性が高いマッチングがなされた状況です。
一方で、お互いの利害関係が一致していない状況が失敗の可能性を高めてしまいます。この様な状況を生まないためにはどの様にすればいいのでしょうか?
 
 

5.失敗の確率を下げる方法

制作会社の選定力が乏しい企業にとっては、どう判断すれば良いのかがわからず「価格の安さ」や「知っている人」に依頼してしまうことが多いのではないでしょうか。
しかし本当の判断基準は自社の制作目的に合っているかどうかです。
そこで、判断基準となる情報をより多く集めるヒアリングが下記の3点です。

1.制作フローを具体的にヒアリング

ワイヤーフレームやデザインを作るまでの行程は制作会社によって大きく異なります。

定量調査やユーザーインタビューなどのリサーチを実施する企業もあれば、何度も何度も依頼会社と打ち合わせを重ねる企業や、依頼企業が記載するヒアリングシートの情報だけでつくる制作会社もあります。

この様に制作フローを事細かくヒアリングすることで、どれだけの工数とどれほど依頼側の意図と目的を理解しようとしているかが判断できる情報が聞き出せることがあります。

2.制作フローと制作会社の強みの因果関係を聞く

サイト内のコピーや使用画像などを依頼企業が全て用意するにも関わらず、ビジネス貢献や表現力を強みと謳っているケースもあります。

この様に制作工程と強みの因果関係が薄いと期待している結果が得られない場合もありますので、なぜそのフローが必要なのかというヒアリングを重ねることで、より制作後を具体的にイメージする事ができます。

3.プロジェクトの体制図を聞く

相性が良いと思っていた営業担当者がプロジェクト開始時はおらず、見知らぬディレクターと1からコミュニケーションを確立しなければいけない、など実は担当者との相性によっても、満足度や納得度は非常に左右されてしまいます。

よって、依頼した際はどんなメンバーがアサインされるのかなどを予めヒアリングしたり、場合によっては商談への参加を希望するなど、事前に確認することで、プロジェクト開始以降をより具体的にイメージする事ができます。

6.サマリー:依頼会社と制作会社の正しい歩み寄りが必要

【制作会社】依頼側への適切な情報発信と情報伝達を行う

制作会社側が自社の不得意領域にもかかわらず、さも得意に見えかねない情報を発信したり伝えてしまう事により、選定力に長けていない依頼側にとっては適切に判断ができません。

この様な期待値の不一致が生じることでミスマッチが生じてしまう可能性が高まります。特に依頼経験が少ない企業にとっては、どの制作会社も良さそうに見えてしまい、その結果「金額の安さ」や「知っている人」という判断軸で選んでしまいかねません。

本来は自社課題や目的に適切な制作会社を選ばなくてはいけませんので、制作会社として適切に依頼者に歩み寄るための情報を発信しなければいけません。
依頼側が「発注のプロ」ではないケースこそ、制作会社は「自社の提案領域に対する受注のプロ」であり続ける必要があります。

【依頼側】”制作会社選定力”を向上する

依頼側の事業フェーズによって投下できる予算が少なく、低予算で制作せざるを得ないケースもあります。

ただ、低予算故にできる事とできない事があります。特に、デザインの品質を求めるには、経験値の高いディレクターや技術力の高いデザイナーのアサインが不可欠となりますが、低予算ではなかなか現実的ではありません。

よってそこをカバーする為に、依頼側は「制作の目的」や「自社課題」を明確にしたり、制作会社のリストアップ・調査を入念に行うなど、適切に判断できる為の情報を集めることでカバーする必要があります。
どちらが悪いのかという話ではなく、ビジネスパートナーとして関係性を築くためにお互いが適切に歩み寄るという状況が、ミスマッチの可能性を下げることにつながるかと考えられます。

7.まとめ

今回の調査結果でで改めて制作会社にとってデザイン品質は顧客満足度の生命線であることが分かりました。これについては制作会社としても身が引き締まる思いです。

ただデザインの品質という定量的に計測できない指標は非常に作り手と受け手の関係性によって大きく変動します。信頼する人がこれが良いデザインですと提案されれば、自分の好みでなくともこの人が言うのであれば…と信じられる事もあります。一方で、業界の基準以上の品質であっても、好みでなければ失敗だと感じられるかもしれない、非常に曖昧で危うい評価軸によって判断されるのがデザイン品質です。その為、最終的な納品分の品質だけではなく、それに伴うすべてのコミュニケーションが大きく影響します。

依頼主の希望をどの様に認識しているのか、どんな意図でそのデザインを提案しているのか、そして制作したサイトでは誰に何を伝えるべきなのか。この様な相互が歩み寄る為に必要なコミュニケーションを含めた「デザイン」を制作会社として目指さなければならないと改めて気付かされる調査結果でした。
ナノカラーでは、依頼側の「制作の目的」や「自社課題」を丁寧にヒアリングし、事業フェーズや商材に合わせたプランニングを提案することを心がけています。「自社が制作会社へ依頼すべき状況なのかわからない」といったケースなどの豊富な相談実績がありますので、お気軽にご相談いただければ幸いです。

  • 調査実施日  2022年2月1日(火)~2022年2月2日(水)
  • 調査     Web制作会社に関する調査
  • 対象者    過去Web制作会社へご自身主導で発注経験あり
  • 有効回答数  60サンプル
  • 実施方法   Webアンケート
  • 調査実施企業 アスマーク(https://www.asmarq.co.jp/