「見るべきはCPAだけではない」本当に利益を最大化するための指標とは?



私たちナノカラーのLP制作では、制作前のユーザー調査、制作後の配信データの考察に重きを置いています。

そしてこれらのデータ分析には、マーケティング効果測定プラットフォーム「アドエビス」が欠かせません。

今回は、私たちも愛用しているアドエビスを提供する株式会社イルグルムの福井さんと、弊社代表の川端が対談いたしました。

対談者の紹介

株式会社イルグルム
福井 元輝(ふくい もとき)

株式会社イルグルム カスタマーサクセス部 カスタマーサクセス1課 課長。アドエビスのCSとして、これまでに100社以上の活用支援をおこない、現在はオプションサービスの販売・導入促進を担当している。

株式会社nanocolor
川端 康介(かわばた こうすけ)

株式会社nanocolor 代表取締役。起業10年で約1,000本LP制作と解析と運用を実施。デザインや経営は独学。データ解析 × ユーザー心理 × クリエイティブで真っ当な広告デザイン創出を目指す。

広告やLPで追うべき指標はCPAだけなのか?

川端

今回イルグルム様にお聞きしたいのが「広告やLPで追うべき指標とは何か?」です。

多くの場合、広告配信における指標はCPA(※1)ですし、私たちナノカラーもCPAを重要指標の一つとして制作・運用しています。

ただ、長期的な利益の最大化のためには、LTV(※2)も無視できないと思うんです。

いくらCPAが良くても、すぐ解約してしまうユーザーを集客するなど、利益に繋がっていない場合は意味がありません。

「広告やLPで追うべき指標とは何か?」イルグルムさんのご意見も伺えますでしょうか?

(※1)CPA(Cost Per Action):
顧客の獲得単価。1,000円の広告費で2件売れたら、CPAは500円。

(※2)LTV(Life Time Value):
顧客が生涯を通じてそのサービスに使う金額の合計。

福井

私も、広告配信ではCPAだけでなく、LTVも追うべきだと思います。理由はナノカラーさんと同じです。

LTVを見ないと、CPAは低くても解約率の高いクリエイティブを「優れた広告」と評価してしまう場合がありますよね。

例えば、目標CPAが6,000円に対して5,000円で運用できているクリエイティブがあったとします。

一見すると良好ですが、実際は2,000円の商品を1~2ヶ月目で解約してしまう人ばかり。

ユーザー1人あたりの平均金額は2,000~4,000円なので、実は広告費を回収できていなかった、などですね。

川端

あー、わかります。もともと目標CPA自体、平均購入回数を加味して利益が出るよう算出するのが一般的です。

しかし、クリエイティブ単位などで見ると平均購入回数に届いておらず、利益が出ていないケースもあるんですよね。

福井

はい。逆に、LTVを見ることでCPAは高めでも解約率が低い「長期的に見たら利益が高い広告」が見つかることもあります。

川端

CPAだけを見ていると、広告配信の本来の目的である「利益」の優先度が下がってしまう可能性があるんですよね。

福井

私もそう思います。ただ、アドエビス自体はずっと「CPA改善のしやすさ」を基準に開発と改善を進めてきました。

Web広告の歴史とともに「1CVあたりにいくらの広告予算がかかったか?」という思想に沿って、発展してきたためです。

そして、未だにCPAは多くの広告主様の重要指標として使われています。

CPAは計算式もシンプルで、共通の目標に掲げる指標として分かりやすいんですよね。

川端

おっしゃる通りだと思います。私たちも「CPAは不要だ!」と言いたいわけではありません

実際、LP制作の相談を頂いた場合、まず真っ先にCPA改善を進めます。

LTV改善には、データが集まるまでの時間と広告費が必要です。また、売上データを共有することになるので、双方の信頼関係も必須になります。

それなら短期で改善しやすいCPAに先に注力し、そこで浮いたお金と得られた信頼をもとに、LTV改善に取り組んだ方が効果的だな、と。

なのでLTVの改善提案をするとしても、基本的にはCPAが改善してからですね。

福井

LTVは計算式も複数のパターンがありますし、分析期間も半年や1年など様々です。

広告主や代理店によっても認識が異なるので、共通目標として使われにくいという理由があるのかもしれませんね。

川端

たしかにそうかもしれません。とはいえ、CPAを重視しすぎると利益に対して盲目的になりやすいのも難しいところですよね。

例えば単品通販の場合、「期間限定の半額キャンペーン」「ビフォーアフター画像」などの衝動買いを促せば、CPAは低く抑えられるかもしれません。

しかしこのような売り方に特化しすぎると、商品と購入者の間に「期待値のズレ」が生まれてしまい、解約率は非常に高くなります

凄そうだから買ったけど、思ったほどじゃなかった」と解約してしまうんですよね。

福井

そうなんですよね。

特に単品通販系の広告主様は、新規顧客獲得のために広告費を投資し、リピート購入で投資を回収するのが基本です。

そのため単品通販系の広告主様こそ、下図のようにLTVも加味した運用をすることが理想だと考えています。

川端

まさに私もそう思います。ただ、LTVを計測するのは現実問題、ハードルが高いんですよね。

LTVは計算方法も複数ありますし、計算自体に意外と手間がかかります。

さらには、それを「広告媒体ごと・顧客ごとに集計し、CPAと比較する」となると、なかなか腰が重くなってしまうのはわかるんです。

福井

わかります。そのジレンマはアドエビスでも感じておりました。

そこでアドエビスは、「単品通販業界における『CPA×LTV』を加味した効果測定ができる機能」を2021年6月にリリースできるよう開発を進めています。

川端

「CPA×LTV」を加味した効果測定ができる機能……!

どんな機能ですか?詳しくお聞きしたいです。

福井

アドエビスに受注データをアップロードするだけで、施策ごとの「LTV/転換率(成約率)/新規ユーザー数」などの重要指標を自動算出できる機能です(下図参照)。

なので広告主から運用者へのLTV共有もスムーズにできます

福井

また、転換率や回転数などを元に「予測LTV」も算出できるので、半年や1年、購入後の様子を見ることなく広告運用にLTVを生かせます

川端

画期的な機能ですね。ぜひ私たちも使ってみたいと思います!

広告やLPで追うべき指標まとめ

  • CPAはもちろん大事だが、長期的な利益の最大化のためにはLTVも追うべき
  • ただ、LTVは計算方式や分析期間も複雑で、指標として統一するのが難しい

CPA改善のみを求められたら、運用者はどうするべきか

福井

とはいえ、「LTVは一旦気にせず、CPAを改善してほしい」とオーダーがあるケースも多いと思います。

CPA改善のみを求められた場合、ナノカラーさんはどのような対応をしているのですか?

川端

CPA改善に向けてフルコミットします

先ほども言ったようにLTV改善には時間とお金が必要ですし、ここで「LTVも重要です」と言っても奇麗事になってしまうので。

まずは目下の課題であるCPAを改善する、そこからスタートです。

福井

たしかに、最初からLTVの提案ばかりだったら「CPAを改善できない言い訳」に感じる人もいるかもしれませんね。

では、具体的にどのような流れでCPAを改善していくのでしょうか?

川端

購入確度の低い人を送客しない」「購入確度の高い人を送客する」の2つの視点で改善案を見つけていきます。

福井

購入確度でユーザーを分けるんですね。

川端

はい。具体的には「媒体ごと」「クリエイティブごと」に分けて、ヒートマップでLP内での動きを見ます。

そして「購入した人」はどんな人なのか、「離脱した人」はどんな人なのかを仮説立てていくんです。

その上で、
・購入者の集客経路を増やす
・離脱者の集客経路を減らす
・LPやクリエイティブでの離脱原因をなくす

という施策を提案していますね。

※詳しくは私が執筆したnoteに書いています。

福井

集客経路の提案までされているんですね。

LP外部の動きまで考慮して制作してくれる会社は、なかなかいないと思います……!

川端

ありがとうございます!

LTV改善を目的に制作・運用する場合の流れ

福井

では「LTVを加味して制作・運用する場合」では、どのような対応になるのでしょうか?

川端

単品通販で言うと、基本的には「購入前の期待値のズレ」を無くすようLPやクリエイティブを改修します。

まず商品をよく理解した上で購入した人の継続率(結果としてLTV)は高い傾向にあります。これは、購入前の期待値のズレが低いからだと考えています。

福井

よく読んでから買っているので「思ってたのと違った!解約!」ということを防ぎやすいわけですね。

川端

そうですね。なので、逆に「残り1時間」「在庫わずか」など、期待値のズレを埋めず購入を急かした場合の継続率は低いんです。

そのため「購入前の期待値のズレ」をなくすよう、LPやクリエイティブで正しく説明する必要があります。

福井

たしかに自分も「安いから」「何となく良さそうだから」と衝動買いした物は、すぐ使わなくなった経験があります。

川端

そうなんですよね。なので実際はまず、継続率の高いユーザーの購入前の期待値や課題を、商品レビューやアンケートから調査しています

その上で、求めている情報のみをLPに載せられればと。

福井

継続率などの定量データだけでなく、商品レビューなどの定性データも見ているのですね。

ツールを使っていると数値ばかりに視点が向きがちなので、とてもバランスの取れた分析だと思います。

川端

そう言っていただけて嬉しいです。

さらに作ったLP・クリエイティブごとに継続率を計測して、仮説を検証できたら理想なのですが……そこまで詳細に計測している広告主様はあまり見かけません。

アドエビスさんなら流入別に分けて継続率やリピート率を計測できるので、ぜひ多くの広告主様に取り入れていただきたい思っています。

福井

ありがとうございます!

ナノカラーのCPA・LTV改善方法まとめ

  • CPA改善:「購入確度の低い人を送客しない」「購入確度の高い人を送客する」の視点で施策を出す
  • LTV改善:「購入前の期待値のズレ」を無くすようLPやクリエイティブを改修する

成果が出ないときに陥りがちなWeb広告の落とし穴

川端

では最後に、イルグルムさんから見るWeb広告で成果が出ないときに陥りがちなパターンを聞かせていただけますでしょうか?

今後の制作・運用の参考にできればと思っております。

福井

そうですね……「部分最適になる」ケースですかね。

川端

部分最適、ですか?

福井

はい。1つの商材に対して複数の広告代理店やインハウス運用者が介入する場合、「各運用者ごと」に広告効果の最適化を図ることが多いと思います。

その結果、各社で商品を買ってくれる人を奪い合うことになり、全体のCPAが悪化する……というケースですね。

川端

「各社で商品を買ってくれる人を奪い合う」とは、例えばどのようなイメージでしょうか?

福井

例えば、Facebookにいる「広告を見て商品を買ってくれる人」が仮に100人だったとします。

そこに3社代理店が入って運用したとしたら、3社で100人のお客さんを奪い合うことになりますよね。

その結果3社ともCVRが下がり、3社全体のCPAも悪化する、という流れです。

川端

ありがとうございます。理解しました。

しかし難しい問題ですね。本来なら、3社で相乗効果が生まれるべきだと思うのですが……。

福井

福井:はい。成果を出すには、「どの媒体」に「どんなクリエイティブ・LP」を出したときに効果が良かったか?などの情報を、運用者同士でシェアすべきだと思います。

共有しあうことで「あ、ならこんなバナーも良いのでは?」とシナジー効果が生まれる。そんな関係が築けたら素敵ですよね。

アドエビスなら広告主や代理店間で必要な数値を共有できる機能(下図)もあるため、ぜひ活用していただけたらと思います。

Web広告で成果が出ないときの失敗パターンまとめ

  • 各運用者ごと」に広告効果の最適化を図る(=部分最適になる)と成果が出にくい
    ⇒運用者や代理店同士で情報を共有して相乗効果を目指せると良い

まとめ

本対談のまとめ

  • 利益最大化のためには、LTVを加味した広告運用が重要
  • ただ、CPAも大事な指標。フェーズや状況によって指標を使い分けるべき
  • LTV計測は難しい・面倒な印象があるが、アドエビスの新機能を使えば実現できる

CPAは重要な指標だが、長期的な利益の最大化のためにはLTVも大切。

イルグルムさんと私たちナノカラーで、この考えは同じでした。

そして、アドエビスさんは上記の思想をもとに、LTVを簡単に計測し、広告運用に生かせる機能を2021年6月にリリース予定とのことです。

私たちも利用する予定なので、ぜひ読者の皆さまも活用していただけたらと思います。

もし「LTVまで見据えてLPを制作してほしい」「まずはCPA改善から始めたい」という場合は、私たちナノカラーにご相談ください。

  • 初めてLP制作を依頼するけど不安
  • 既に広告出稿しているが、イマイチ成果が出ない
  • ある程度成果は出ているが、今後の施策が手詰まりになった

⇒どれも私たちが得意な領域です。LP制作や前後のコンサルティング、広告運用との紐づけまでワンストップでお受けいたします。

まずはお気軽に、以下のフォームからご相談ください。

福井さん、ありがとうございました!